COLUMN コラム
Soraie一級建築士コラム
営業をおかない家づくりとは?建築士と直接話す理由
2026.09.12
Soraie一級建築士コラム|Vol.10
代表・一級建築士が考える、家づくりの進め方
こんにちは。空間デザイン住宅Soraieの代表・一級建築士、小野です。
家づくりを考えるとき、間取りやデザイン、性能、価格は、もちろん気になるところだと思います。
その一方で、もう一つ大切にしていただきたいことがあります。
誰と話しながら、その家をつくっていくのか。
ということです。
Soraieでは、専任の営業をおかず、建築士がお客様のご要望を直接伺い、インテリアコーディネーターとともに住まいを考えていきます。
この体制を選んでいる理由は、大きく二つあります。
住む人の想いを、実際に家を考える人が直接受け取りたいから。
そして、限られた予算を、できるだけ住まいの価値に向けたいから。
今回は、私たちの「営業をおかない家づくり」に込めている考えを、少し詳しくお話ししたいと思います。

目次
自分が明日家を建てるなら、何を大切にするだろう
私は、家づくりを考えるときに、一つの基準を大切にしています。
自分が明日家を建てるなら、どんな内容と価格に納得するだろう。
という視点です。
好きなデザインであることは、うれしい。
でも、冬に寒かったり、毎日の家事がしにくかったりするのは困ります。気に入った家ができても、支払いによって、住んでからの暮らしに余裕がなくなってしまうのも避けたいと思います。
だからSoraieでは、性能・使いやすさ・デザイン・安心・価格を、別々ではなく、一緒に考えることを大切にしてきました。
そして、そうした家をつくるには、お客様の言葉を聞くところから始める必要があります。
どんな家が好きなのかだけでなく、今の暮らしで何に困っていて、これからどんな毎日を送りたいのか。
注文住宅は、完成した商品を選ぶだけではありません。まだ形のない住まいを、ご家族と一緒に考えていく家づくりです。
だからこそ、最初のお話を、住まいを考える人が直接伺いたい。
それが、私たちの出発点です。

売る人ではなく、つくる人と話す。
例えば、「収納をもっと増やしたい」というご希望を考えてみます。
収納を広くすることが、よい答えになる場合もあります。
ただ、その前に聞いておきたいことがあります。
何をしまいたいのか。どこで使う物なのか。今は、なぜ片付けにくいのか。
詳しく考えていくと、必要なのは収納の広さではなく、使う場所の近くに、戻しやすい収納があることかもしれません。
洗濯物をしまうために家の中を何度も往復しているなら、収納を増やす前に、洗う場所・干す場所・しまう場所のつながりを見直す方法もあります。
「LDKを広くしたい」というご希望も同じです。
面積を増やす方法だけでなく、家具の置き方や通路、窓から見える景色を整えることで、求めている広がりに近づけるかもしれません。
ご要望を、そのまま図面に写すだけではなく、ご要望の背景まで聞いて、設計として答えを考える。
私は、そこに建築士と直接話す価値があると思っています。
もちろん、専門家が一方的に「こちらの方が正しい」と決めるためではありません。
いくつかの方法を示し、その違いをお伝えしたうえで、ご家族にとって納得できる答えを一緒に選ぶ。
私たちがいう「つくる人と話す」は、そういう対話です。

素材や色、照明も、つくる人と一緒に考える
暮らしやすさや心地よさは、間取り図だけでは決まりません。
床や壁の色、木目の見え方、照明の位置、家具との組み合わせ。
同じ間取りでも、何を選び、どう組み合わせるかによって、空間の印象は変わります。
Soraieでは、間取りや暮らし方を建築士と考え、素材や色、照明やインテリアについては、インテリアコーディネーターと具体的に検討していきます。
インテリアコーディネーターは、単に色を選ぶだけではなく、暮らし方や好みを聞き、内装・照明・家具などを組み合わせて住空間を考える仕事です。
例えば、好きな写真があっても、何が好きなのかを最初から言葉にできるとは限りません。
木の色なのか、光の柔らかさなのか、すっきりした見え方なのか。
そこを一緒に確かめながら、そのご家族の住まいに合う形を考えていきます。
「どんな家にしたいか」だけでなく、「どんな毎日を送りたいか」まで。
建築士とインテリアコーディネーター、それぞれの視点を生かして、住まいを具体的にしていきたいと思っています。

直接話したことを、図面と現場へつなげる
建築士と直接話せることは、家づくりの入口です。
ただ、話しやすかったというだけで、よい家が完成するわけではありません。
ご要望を図面や仕様に整理し、材料を選び、施工する人へ伝え、できあがったものを確認する。
そこまでつながって、初めて対話が住まいの形になります。
Soraieは、設計事務所と工務店、両方の役割を担っています。設計と現場が連携し、施工中の疑問や改善点を、次の検討にも生かしていくことを大切にしています。
直接話すことは、社内での共有や確認を省くことではありません。
むしろ、伺ったことをきちんと形にするために、図面や打ち合わせ内容を共有し、現場で確認する必要があります。
工事中には、自社の現場監督による8工程の監査・記録も行っています。
家を考える人と、実際につくる人が連携する。
そのうえで、計画どおりにつくられているかを確かめる。
専任の営業をおかないことを、施工品質の証明の代わりにはせず、家をつくる仕事そのものを大切にしていきたいと思っています。

営業コストを、家そのものに。
もう一つの理由は、予算の使い方です。
家づくりに使える予算には、限りがあります。
その大切な予算を、できるだけ、住んでからの価値につながることへ向けたい。会社の体制を考えるときにも、私はその視点を持っています。
Soraieでは、専任の営業にかかるコストを抑え、住まいの性能や暮らしやすさ、価格とのバランスに生かすことを大切にしています。
ただし、広告や見学の場を用意すること、建築士がご相談を受けることにも、費用と時間はかかります。
「営業に関わるコストがゼロになる」という意味ではありません。
また、設計やコーディネート、施工管理など、よい家をつくるための仕事まで削りたいわけでもありません。
私たちがいう「家そのもの」には、材料や設備だけでなく、家を考える設計、丁寧につくる施工、計画を確かめる仕事も含まれています。
見える設備だけを増やすのではなく、見えない部分も含めて、住まいの中身を充実させる。
そして、ご家族が納得できる価格とのバランスを考える。
それが、「営業コストを、家そのものに。」という言葉に込めている考えです。

あと1坪のゆとりも、広げずに使いやすくする工夫も
予算を住まいに生かす方法は、一つではありません。
例えば、あと1坪のゆとりがあれば、洗濯物を畳める場所をつくれたり、家族が並んで使える洗面スペースを考えられたりするかもしれません。
その一方で、面積を増やさず、収納や通路の配置を整える方が、ご家族に合っていることもあります。
大切にしたい場所の素材や照明へ、予算をかける選択もあります。
逆に、設備や面積を増やさず、家づくりの総額を抑えることが、暮らしの安心につながるご家族もいると思います。
必要な性能や施工品質は、住まいを支える土台です。そのうえで、どこを大切にし、何を選ぶかを一緒に考えます。
もちろん、「営業をおかないので、同じ価格で必ず1坪広くなる」というお約束ではありません。
お伝えしたいのは、予算にゆとりをつくり、その使い道を、ご家族にとって意味のあるものにしたいということです。
家が完成してからも、毎日の暮らしは続きます。
住宅取得のための費用だけでなく、家計や将来の予定も合わせて考えることが大切です。住宅金融支援機構でも、住宅取得の資金計画に加えて、家計収支や将来のライフイベントを踏まえた試算を案内しています。
何をかなえ、どこに予算をかけるか。
その答えを、私たちだけで決めないことも、Soraieの家づくりです。

営業がいないと、相談や段取りはどうなるのでしょうか
「営業がいないなら、誰に相談すればよいのでしょうか?」
そう感じる方もいらっしゃると思います。
専任の営業をおかないことと、ご案内や調整をしないことは別です。
家づくりには、ご相談への対応、日程の調整、予算の確認、見積もりの説明など、進めるために必要な仕事があります。
Soraieでは、家づくりのご相談を建築士が承っています。間取りだけでなく、土地探し・建物の計画・資金計画を合わせて検討するご相談にも対応しています。
具体的な計画が進めば、建築士、担当コーディネーター、現場監督が、それぞれの仕事を担います。一人がすべてを抱えるのではなく、担当する内容をつなげて進める家づくりです。
「営業がいないのだから、お客様が自分で全部調べて、段取りしてください」という意味ではありません。
また、建築士と話すために、専門用語を覚えたり、完成した間取り図を用意したりする必要もありません。
「今の家で、ここが使いにくい」
「こういう雰囲気は好きだけれど、予算に合うか分からない」
そんなお話から始めていただければと思います。
相談や設計の範囲、費用が発生する段階についても、進める前に確認していただきたいことです。
専門家と直接話せることを、敷居の高さではなく、分からないことを一緒に考えられる安心につなげたい。
そう考えています。

よいところだけでなく、迷うところもお伝えしたい
私は、このコラムで、家づくりのよいところだけを紹介したいわけではありません。
例えば、Vol.1では、床暖房の快適さと費用を、2019年の実邸データから考えました。その際、当時の金額や試算を、現在にもそのまま当てはまる数字として使わないように説明しています。
Vol.6の室温測定では、温度差が小さかった場所だけでなく、ファンを使っても温度差が残った場所を紹介しました。
「この設備を使えば大丈夫です」と言い切る方が、分かりやすい場合もあるかもしれません。
でも、実際の家づくりには、建物の条件や暮らし方による違いがあります。
できること、気をつけたいこと、確認しなければならないこと。
そこまでお伝えするのが、家をつくる側の仕事だと思っています。
つくる人と話す価値は、よい提案を聞けることだけでなく、判断の理由まで聞けること。
その姿勢を、日々の打ち合わせでも大切にしていきたいと思っています。

この考え方を、実際の住まいでも確かめてください
施工写真を見て、
「この家の雰囲気が好き」
と思っていただけることは、とてもうれしいことです。
そのうえで、もう少し先まで知っていただけたらと思います。
なぜ、ここに収納があるのか。
なぜ、この部屋は引戸でつながっているのか。
なぜ、この窓の位置や、この素材を選んだのか。
その理由を知ると、同じ写真や間取りも、違って見えるかもしれません。
見学の際には、空間の雰囲気だけでなく、実際に歩いて、引戸を開け閉めして、暮らしを思い浮かべてみてください。
そして、
「私たちなら、どうなりますか?」
と聞いていただければと思います。
できあがった家を見るだけでなく、その家をどう考えたのかを、つくる人と話す。
コンセプトハウスも、そんな場として役立てていただきたいと考えています。

営業をおかないことが、目的ではありません
最後に、一つお伝えしておきたいことがあります。
営業がいる会社では、よい家がつくれない。そう考えているわけではありません。
住宅会社には、それぞれの体制や役割分担があります。
その中でSoraieが選んでいるのは、住む人の想いを、住まいを考える人が直接受け取り、予算の使い方まで一緒に考える方法です。
ただ人を減らすためでも、安さだけを強調するためでもありません。
ご家族が納得できる家を、納得できる予算でつくるために、誰が何を担うかを考えた結果です。
私たちが、大切にしていること。
それは、次の言葉にまとまります。
住む人の想いを、つくる人が直接受け取る。
限られた予算を、その人の暮らしに生かす。
売る人ではなく、つくる人と話す。
営業コストを、家そのものに。
営業をおかない家づくり。
空間デザイン住宅Soraie
代表・一級建築士 小野 貴士
参考情報
公益社団法人インテリア産業協会|インテリアコーディネーターとは
岡山で、つくる人と家づくりの話をしてみませんか
間取りや設備が、最初から決まっている必要はありません。
「今の暮らしで困っていること」
「新しい家で大切にしたいこと」
「予算について気になっていること」
そんなところから、お聞かせください。
写真では分からない動線や空間のつながりを見ながら、ご家族の住まいを一緒に考えていきましょう。
CATEGORY
- Soraieの高性能住宅(9)
- 住宅性能(7)
- 床暖房・太陽光検証(2)
- 断熱性能(7)
- 気密測定(4)









