COLUMN コラム
Soraie一級建築士コラム

小野 貴士
一級建築士
高気密高断熱でも寒い?家じゅうを快適にする2つの考え方
2023.10.12
Soraie一級建築士コラム|Vol.2
性能編① 家じゅうを快適にする2つのこと
最終更新日:2026年9月8日
こんにちは。空間デザイン住宅Soraieの一級建築士、小野です。
「寒いのが苦手なので、高気密・高断熱の家にしたいです」
家づくりのお話をしていると、こうしたご要望をいただきます。
もちろん、私も高気密・高断熱はとても大切だと思っています。
ただ、そのときには、もう一つお伝えしたいことがあります。
高気密・高断熱にすることと、その家で快適に暮らせるように計画することは、セットで考えてほしい。
ということです。
家じゅうの暑さ・寒さを考えるとき、私は大きく2つに分けてお話ししています。
家を暖めたり冷やしたりするための負担を小さくすること。
必要な場所に、暖かさ・涼しさを届けること。
「それは当たり前では?」
と思われるかもしれません。
でも、この当たり前を、間取りや設備まで含めて実現することが、意外と難しいのです。

目次
高気密・高断熱は、快適な家づくりの大切な土台です
まず、高気密・高断熱の価値を小さく考えているわけではありません。
断熱性能を高めると、壁や屋根、床、窓などを通る熱の移動を抑えられます。気密性を確保することは、意図しない隙間からの空気の出入りを減らし、計画した換気を行うためにも大切です。
同じ範囲を同じような室温に保つなら、そのために必要な冷暖房の負担を小さくしたい。
その土台になるのが、断熱と気密です。
ただし、断熱材そのものが熱をつくったり、家を冷やしたりするわけではありません。
冬に取り入れる日差しや、冷暖房設備の働きも含めて、室内の環境は決まります。
高気密・高断熱の良さを生かすために、日射・換気・間取り・空調も一緒に考える。
ここまでが、家づくりの計画だと思っています。

家を暖めたり冷やしたりする負担を小さくする
一つ目は、その家を快適に保つために必要な冷暖房の負担を、できるだけ小さくすることです。
考えるポイントを整理すると、次のようになります。
| 考えること | 家づくりでの役割 |
|---|---|
| 断熱 | 壁・屋根・床・窓などを通る熱の出入りを抑える。 |
| 気密 | 意図しない隙間からの空気の出入りを抑え、計画的に換気できるようにする。 |
| 日射 | 夏は入りすぎる日差しを遮り、冬は敷地や窓の条件に合わせて太陽の熱を利用する。 |
| 換気 | 必要な空気の入れ替えを確保しながら、換気に伴う熱の出入りも考える。 |
例えば窓は、景色を見たり、明るさを取り入れたりするだけのものではありません。
夏の日差しが室内に入りすぎれば、その熱を冷房で外へ出す必要があります。反対に、冬に日射を利用できれば、暖房の負担を減らす助けになります。
ですから、窓の大きさだけでなく、向き、ガラスの選び方、軒や庇、外側の日よけなどを組み合わせて考えます。冬でも日射が入りすぎて暑くなる場合があるため、「たくさん入ればよい」とは限りません。
断熱材を厚くするだけでも、窓を小さくするだけでもなく、その土地と暮らしに合った方法を考える。
家に入ってくる熱と、家から出ていく熱を、できるだけ上手に扱うこと。
これが、一つ目の考え方です。

必要な場所へ、暖かさ・涼しさを届ける
二つ目は、冷暖房の働きが、必要な場所まで届くようにすることです。
家には、壁があります。天井があります。ドアもあります。
リビングと寝室、廊下、脱衣室は、いつも一つの空間になっているわけではありません。
そのため、建物の断熱性能が高くても、冷暖房の計画が暮らし方に合っていなければ、部屋ごとに温度差が残ることがあります。
例えば、リビングでは暖かく過ごせていても、離れた脱衣室には暖かさが十分に届かない。
夏に、寝室のドアを閉めると涼しさが届きにくい。
こうしたことを、住み始めてから考えるのではなく、設計の段階で考えておきたいのです。
どこを、どの時間帯に、どのくらい暖めたり冷やしたりしたいのか。
そのうえで、設備の能力や設置場所、部屋のつながり方を決めていきます。空気を循環させる計画なら、送る先だけでなく、戻る経路も考える必要があります。
高断熱住宅の設計ガイドでも、建物に合った暖冷房設備の選定と設置位置、空間構成を組み合わせて検討する考え方が示されています。
大切なのは、特定の設備を付けることだけではありません。
その家の、その部屋で、どう過ごすかまで考えることです。

Soraieが「引戸でつなぐ動線」を大切にする理由
Soraieでは、「ワンフロアに使う家づくり」を大切にしています。
なるべく家事動線や帰宅動線に行き止まりをつくらず、引戸を開けることで空間同士をつなげる。
この考え方には、移動しやすさだけでなく、暖かさ・涼しさを届けやすい空間を考えるという意味もあります。
普段は引戸を開け、家族が行き来しやすい空間にする。
来客時や着替えるときなどは、必要に応じて閉じる。
そうした暮らし方を、間取りと一緒に考えます。
ただし、引戸にすれば、それだけで家じゅうが同じ温度になるわけではありません。
寝室や子ども部屋など、ドアを閉めて過ごしたい場所もあります。音や視線への配慮も必要です。
ですから、開けたときに空間がどうつながるかだけでなく、閉めたときの冷暖房も考えておかなければなりません。
人の動線と、空気の通り道を一緒に考える。ただし、暮らし方を我慢させる間取りにはしない。
性能と間取りを、別々に考えないこと。
これが、Soraieの家づくりで大切にしていることの一つです。

換気と空調は、役割を分けて考えます
ここで、換気についても少し触れておきます。
換気は、室内外の空気を入れ替え、室内の空気環境を保つためのものです。住宅では、シックハウス対策として、原則として24時間換気システムなどの機械換気設備の設置が必要です。
一方、冷暖房は、室温などを整えるために行います。
そのため、24時間換気の設備があることだけで、家じゅうに十分な冷暖房が届くとは限りません。
換気方式も、第一種か第三種かという名称だけで、その家の快適さが決まるわけではありません。
熱交換型の換気には、換気に伴う熱の損失を抑える利点があります。そのうえで、設備費用や運転にかかる費用、フィルターの掃除のしやすさなども検討したいところです。
そして夏は、室温だけでなく湿度への配慮も欠かせません。冷房・除湿の計画まで含めて、その家に合った設備を考えます。
必要な換気は確保する。そのうえで、熱の出入りと冷暖房の届き方を整える。
換気も空調も、家全体の計画の中で考えていきたいと思っています。

省エネ基準を満たすことと、暮らしに合うことは別です
2025年4月から、原則として新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました。住宅の省エネ性能を確保することは、家づくりの基本になっています。
ただ、基準を満たすことと、ご家族が望む暮らしに合っていることは、同じではありません。
朝早く洗面所を使う方もいれば、夜に子ども部屋を閉めて勉強するご家庭もあります。
「日中、誰がどの部屋にいるか」も、ご家族によって違います。
だからこそ、性能の数値だけを確認するのではなく、その家でどう暮らすかを、建築士と一緒に考えることが大切だと思っています。

高性能住宅を検討するときに、聞いてみてほしい3つのこと
住宅会社を比較するときには、断熱性能や気密性能の数値とあわせて、次のことも聞いてみてください。
- 夏の日差しと冬の日差しを、どのように調整する計画ですか?
- リビング以外の寝室・廊下・脱衣室は、どう暖めたり冷やしたりしますか?
- ドアを閉めて過ごす場合も含めて、どのような空調計画になっていますか?
専門的な計算を、すべてご自身で理解する必要はありません。
図面を見ながら、
「朝、ここを使うときはどうなりますか?」
「子ども部屋を閉めたらどうでしょうか?」
と、暮らしの場面を思い浮かべて聞いてみるだけでもよいと思います。
その住宅会社が、性能をどのように暮らしへつなげようとしているか。
説明を聞くことで、家づくりの考え方が見えてくると思います。

性能も間取りも、快適な暮らしのために
Soraieが大切にしているのは、性能、使いやすさ、デザイン、安心、そして価格です。
自分が明日家を建てるなら、性能だけ良ければよいとも、見た目だけ気に入ればよいとも思わないはずです。
だからといって、何もかも最高級にする家づくりを目指しているわけではありません。
大切にしたいところへ予算をかけ、納得できるバランスで、自分たちらしい家をつくる。
そのために、性能と間取りと設備を一緒に考えたいと思っています。
今回の話をまとめると、
家を快適に保つための冷暖房の負担を小さくすること。
そして、必要な場所へ暖かさ・涼しさを届けること。
この2つです。
高気密・高断熱は大切な土台です。その性能を、毎日の暮らしの快適さまでつなげることも、同じように大切です。
Soraieは、営業を置かず、建築士がお客様のご要望を直接伺いながら家づくりを進めています。
性能の数字だけではなく、
「その性能と間取りで、どんな暮らしができるのか」
まで、一緒に考えていければと思っています。
空間デザイン住宅Soraie
一級建築士 小野 貴士
参考情報
環境共生まちづくり協会|高断熱住宅の設計ガイド〔国土交通省編集協力・PDF〕
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「高気密・高断熱にしたいけれど、どこまで性能を上げればよいか迷っている」
「家じゅうの温度差を、できるだけ少なくしたい」
「性能だけでなく、間取りやデザインも大切にしたい」
そんなところから、ご相談ください。
Soraieでは、一級建築士がご家族の暮らし方と予算を伺いながら、性能と間取り、設備の組み合わせを一緒に考えています。
売る人ではなく、家をつくる人と話す。
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