注文住宅の間取りは、自由度が高く選ぶ楽しみがありますが、判断に迷う方も多い部分です。間取りは、移動しやすさや使いやすさなど、住むひとの生活に大きな影響をあたえます。
住んでからストレスフルな住まいになったと後悔しないためにも、慎重に検討する必要があります。
この記事では、注文住宅の間取りの決め方について紹介しています。間取りの失敗例と成功例にもふれているため、間取りづくりに迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
注文住宅における間取りの決め方
以下で、注文住宅の間取りの決め方について詳しく紹介しています。これらを参考に、理想の間取りをえがいていきましょう。
部屋数を決める
まずは部屋数を決めます。リビングやダイニングなどの共用部分のほかに、個室の部屋数も考えます。
基本的に部屋数は、家族構成で決めていきます。夫婦ふたりの場合は、LDK+寝室で1LDK、子どもがひとり増えた3人家族の場合は、子ども部屋をプラスして2LDKにするなどです。
現在だけでなく、あらかじめ家族が増えた場合や老後なども想定して決めましょう。未来像がイメージできないときは、部屋をひとつ余分につくっておくと、来客用やワークスペース、将来の子ども部屋に活用できます。
こだわりたいポイントを決める
注文住宅では間取りの自由度が高いため、自分や家族の個性や好みを反映できるのが魅力です。こだわりたいポイントを決めて、取り入れていきましょう。
たとえば、スキップフロアやランドリールーム、シューズクローク、ウォークインクローゼット、ビルトインガレージなどの人気の機能の導入です。希望をすべてかなえることはむずかしいため、優先順位をつけておくとよいでしょう。
間取り図を集めて決める
間取りのイメージがつかめない場合は、参考に間取り図をあつめて決めてもよいでしょう。いちから間取りを決める必要がないため、負担が軽くなります。間取りのイメージがしやすく、気に入ったものが見つかる可能性もあります。
間取り図には、部屋の位置情報だけでなく、天井の高さや床の段差、収納の広さなどがかかれたものもあります。部屋の広さや周囲に配置するものの大きさがわかるため、空間の広さや動線が把握しやすくなります。
また、今住んでいる家の天井の高さや階段の幅、玄関や部屋の広さなどの寸法をはかると、今の家とどこが違うのかがわかり、より精密に間取りがイメージできるようになります。間取り図は、間取り図のまとめサイトやハウスメーカー、工務店のサイトなどから入手できます。
動線を重視して配置を決める
暮らしやすい住まいにするためには、動線を重視して配置を決めましょう。動線とは、ひとの移動経路を線であらわしたものです。家事動線や生活動線などがあります。
家事動線とは、料理、洗濯、掃除などの家事を行う際の動きのことです。生活動線は、朝起きて顔を洗う、食事をする、支度をする、出かけるといった生活するうえで行う家事以外の動きです。
家事動線や生活動線などがコンパクトで無駄がないものだと、ストレスなく生活できます。たとえば洗濯場と干す場所、たたむ場所を近くに配置して、家事動線を短くする方法があります。
収納スペースや窓などの位置を決める
間取りを考える際は、収納スペースや窓などの位置もセットで考える必要があります。注文住宅は人が生活する場所に目がいきやすく、あとで収納スペースの少なさやほしい場所に収納がないことに気づくことが多いです。
また窓の位置も、採光や風のとおりに大きな影響をあたえるため慎重に決めましょう。
ライフステージが変化を考慮して決める
間取りを決める際は、ライフステージの変化を考慮して決めるとよいでしょう。たとえば新婚夫婦の場合は、子どもの数が未定のため、可変性の高い間取りが候補にうかぶのではないでしょうか。
スキップフロアにする、スライド式の片引き戸をつけて稼働間仕切りにするなどの方法がとれます。
また、老後の暮らしについても考える必要があります。たとえば階段移動が困難になった場合を想定して、あらかじめ1階で暮らしが完結できる間取りを選択しておきます。
未来を想定しておくことで、将来発生する変化に対応しやすくなります。将来のことを考えるのが難しい場合は、親や祖父母目線で間取りを考えてみるとよいでしょう。
注文住宅で間取りが大切な理由
注文住宅では、間取りは家づくりにかかせない大切な要素です。注文住宅は規格住宅とは異なり、間取りの型が存在しないからです。
規格住宅はメーカーが提案した複数の選択肢のなかから間取りを決定します。一方、注文住宅は自分で自由に間取りを決められます。
間取りの自由度が高いのが注文住宅のメリットですが、選択肢が豊富にあるため、迷うケースが多いです。そのため、間取りに成功する方と失敗する方がいます。
よい間取りの住まいは、動線にむだのない快適な暮らしが送れます。一方で、失敗してしまった間取りの住まいは、動線にむだがあるため、ストレスフルな生活をよぎなくされます。
間取りひとつで今後の暮らしやすさが決まってしまうため、注文住宅で間取りを決めるときは、慎重に検討をかさねていきましょう。
間取りを決める前に必ずやるべきこと
間取りを決める前に、かならずやるべきことを3つ紹介します。以下を参考に、後悔のない住まいをつくりましょう。
家族全員の意見を聞いておく
間取りをつくる段階で、家族全員の意見をあらかじめ聞いておきましょう。何階建てがよいのか、庭やリビングの広さ、ベランダやテレワークスペース、和室はつくるのかなどを確認しておきます。
和室は迷う方も多いようですが、日本では和室がある家庭の方が多くなっています。完全に個室として利用する完全独立型と、リビング横付けのリビング一体型があります。
リビング一体型は、ポテンシャルが高いのが特徴です。将来の寝室や洗濯をたたむ場所、子どもの遊び場所、書斎に使用できます。来客時は障子をしめておけば、なかは見えません。
家族の希望をすべて聞いたら優先順位をつけていきましょう。家事負担が大きい人のために家事動線を効率化した間取りを、在宅時間が長いひと用に生活動線をさけたワークスペースを配置するなどしましょう。
建ぺい率や容積率などを理解しておく
間取りを考える際は、建ぺい率や容積率などを理解しておく必要があります。建ぺい率とは、敷地面積のなかの建物を建てられる割合のことです。たとえば、建ぺい率50%だと、土地の半分の広さしか使えません。
容積率とは、敷地面積にたいしての延べ床面積のことです。2階建ての場合、1階+2階の広さが容積率となります。建ぺい率は横の空間の広さ、容積率は横+縦の空間の広さです。
容積率が200%の場合は、建ぺい率100%の部屋を2階分つくれることになります。容積率が低い土地の場合は、3階建てが建てられないケースがあるため注意が必要です。
また、不動産広告でよく見られるセットバック(私道負担)とかかれた土地も注意が必要です。たとえば、土地面積100㎡の土地で、セットバック20㎡の場合、土地の80㎡までしか建物が建てられません。
法令により高さ規制がかかることもあり、容積率が高くても希望の階層まで建てられない場合もあります。
外構や隣家をチェックしておく
家内部だけでなく、外構や隣家も確認しておきましょう。外構とは、駐車場のスペースや庭、アプローチ、フェンス、塀などの部分のことです。
家の顔となる部分のため外構部分に面積を取りたい方も多いかもしれませんが、その分だけ建物の面積が減ってしまいます。外構と建物の広さはバランスよく取るようにしましょう。
また隣家との距離が近い場合、おたがいの家で生活音やにおいがとどいてしまう可能性があります。どちらにとってもストレスとなるため、隣家との距離を確認しておきましょう。
間取りの失敗例と成功例
快適な住まいにするためには、間取りの失敗しやすい点や効果的な間取りについて把握しておく必要があります。以下で間取りの失敗例と成功例について詳しく紹介します。
失敗例
間取りは、すこしの失敗で住まいの快適性をおおいに損なってしまいます。失敗例を参考に、これから考える間取りは住みやすいのかを検討してみてください。
手狭で使いづらい
失敗例としてよくあるのが、手狭で使いづらい間取りです。設備や収納の間取りを考える際に、設置スペースだけでなく通路幅を考えないと、移動がスムーズに行えず、ストレスとなります。
たとえば、パントリーを配置する際は、荷物を出し入れするための余分なスペースが必要です。手狭にならないように、設置の際は壁やほかの家具との距離がどれくらい離れているかを確認しましょう。
採光や風のとおりが悪い
採光や風のとおり道が悪いと、暗くじめじめした部屋になります。湿気がたまりやすいため、カビが生えてしまい、部屋干しの際の乾きが遅くなります。
いわゆる衛生や健康に悪い間取りです。間取りをつくる際は、採光や風のとおり道をあらかじめ考えましょう。
成功例
ここからは間取りの成功例について紹介します。なぜ成功したのかを確認しながら、自身の間取りづくりにいかしてください。
すっきりした動線の快適住宅
生活動線や家事動線、帰宅動線などの各種動線は、短くコンパクトにまとめた方が移動や作業がスムーズです。たとえば、家事動線のひとつである洗濯動線を近くにあつめる手法があります。洗濯機や物干し場、ファミリークローゼットが横につながっていることで、洗濯がスムーズに行えます。
狭小住宅がスキップフロアで広々空間に
1階層に多くの段差をつくりだすことで、縦の空間を有効利用し、家を広く見せられるのがスキップフロアです。立体的な構造となるため、おしゃれな住宅をつくりたい方や狭小住宅に向いています。
壁ではなく段差で空間を区切ることにより、視線をさえぎらず家族の存在を感じながら生活できます。
間取りを決める際のポイント
間取りを決める際には、気をつけなければならない5つのポイントがあります。以下で詳しく紹介します。
生活音に配慮する
生活するうえで、気になるのが生活音です。間取りを考える際は生活音に配慮すると、ストレスなく暮らせます。
生活音のなかでも、とくに洗濯機や食洗機、トイレの音は案外ひびきます。音の発生源の近くに寝室があると、夜中に目が覚める、または眠れなくなる原因となります。
2階建てや3階建ての場合は、上下の階層で音がひびく可能性も考慮しましょう。来客の際も、トイレの音や上の階からの音が聞こえないような設計が必要です。
採光のバランスを考える
明るく快適な部屋にするためには、採光のバランスを考える必要があります。基本的に光の入り方は、東西南北の窓の配置により決まります。
見本となる間取り図集には、東西南北の方角が描かれているため、それを参考に窓の位置を決めましょう。しかし、土地の状況や周囲の建物の高さなどにより、光の入り方が異なるケースもあります。周囲の状況をよく確認して窓を配置しましょう。
風の通り道を確保する
窓を配置する際に、採光も大事ですが、風のとおり道も確保する必要があります。風がうまく家のなかをとおるようになると、湿気がたまりにくくなり、カビやにおいの発生をふせげます。
風とおしをよくするためには、風の入り口と出口をもうけましょう。風が家の内外をうまく循環してくれることで、つねに新鮮な空気を取り込めるようになります。
なんでも取り入れないようにする
間取りにも流行りがありますが、人気だからといってなんでも取り入れないようにしましょう。たとえば、近年流行のシューズインクローゼット、ウォークインクローゼット、パントリー収納などです。
これらの設備は収納力を高めてくれますが、反対に部屋のスペースはせまくなります。回遊動線も人気ですが、通路面積をふやすため、ほかの部屋にさけるスペースが減ります。
あとで後悔しないためにも、取り入れる際はなぜ必要なのか、ほかの方法で解決できないかを考えましょう。
プロの力を借りる
ストレスがなく快適な暮らしを実現するためには、間取りづくりの際にプロの力を借りることをおすすめします。とくに、可変性のある間取りや構造が複雑な間取りの場合、設計する際には専門的な知識や技術が必要不可欠です。
設計のプロなら、これからの暮らしを考えたうえで最適な間取りを提案してくれます。日の入り方や風のとおり方も正確にシミュレーションしてくれるため、快適な暮らしが実現できます。間取りで後悔したということがないようにプロの力を借りましょう。
まとめ
注文住宅の間取りの決め方について紹介しました。注文住宅の間取りは、動線や収納、設備の配置、外構など、多くのことを考えてつくらなければなりません。
光の入り方や風のとおり方、生活音についても考慮しなければならないため、はじめて間取りを考える方は、やることが多くて手がまわらないことも多いでしょう。そんなときはプロの力を借りましょう。
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