新築をご検討の方は、間取りの選択肢として、吹き抜けのある家をお考えの方もいらっしゃると思います。
「おしゃれな吹き抜けの家には、どんなメリットがあるの?」
「吹き抜けのデメリットを知って後悔のない家づくりをしたい」
このように、吹き抜けの家に対して知っておきたいポイントがあるでしょう。本記事では、吹き抜けのメリット・デメリットと、開放的な吹き抜けを選択する際に後悔しないよう押さえておきたいポイントを解説します。
吹き抜けとは
吹き抜けとは、建物の内部にある1階と2階の間の天井をなくして、上下階をひと続きにした空間のことを指します。吹き抜けのある家では、1階と2階、またはそれ以上の階の間に天井がなく、1階から最上階までつながっています。
天井がない分、一般的な家に比べると天井が高く、空間が広く取られるので、開放感のある室内空間を演出できます。同じ面積を所有する一軒家でもこのように空間デザインを工夫することで、広く感じられるでしょう。
吹き抜けがある家のメリット
一般的な一軒家と比較したときに、吹き抜けがある家にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは5つのメリットについてお伝えします。
開放感がある
吹き抜けのある家のメリットといえば、まずは開放感があることです。天井が最上階へつながり、天井までの高さが自然と高くなります。
吹き抜けのある家は、一般的な一軒家と比べて壁が少ないため、広く感じられます。吹き抜けによって大きく容積をとった空間は、上下方向がひらけており、開放的な印象を与えるでしょう。
家の中で吹き抜けを検討する場合、リビングやダイニングとの相性が合うとされています。たとえば、キッチンなどの天井高よりもリビングの天井高を吹き抜けによって高くすることで、天井に高低差が生まれ、より開放感を強調できます。
家族とのコミュニケーションが取りやすい
吹き抜けがある家は、1階と2階の隔たりとなる天井がないため、下階と上階が空間的に分断されないのがポイントです。
上下階の空間がつながっているため、どこにいても家族の気配を感じることができます。同じ空間にいなくても1階から2階へ、もしくは2階から1階へのコミュニケーションが取りやすいでしょう。
たとえば、2階で子どもが勉強している最中にご飯の用意ができたときなど、わざわざ2階まで足を運ぶ必要がなく、1階から声をかけられます。家族とのつながりを大切にしたいと思う方にとって、吹き抜けはより大きなメリットを感じやすいでしょう。
採光や風通しがよい
吹き抜けがある家の場合、窓の位置を高くできます。高所の窓は、低い位置にある窓に比べて光を取り入れやすく、室内を明るくしてくれます。
建築基準法によると、天窓は一般的な高さに設置された側窓に比べて、約3倍の採光効果があるとされています。開放的な空間に差し込む光は、室内を明るく照らし、心地よい快適な空間を作ります。
また、高所に開閉できる窓があると風通しがよく、換気がしやすいのもメリットです。空気は温度差によって、下から上へと抜けていく性質があり、この性質を利用することで換気しやすくなります。
デザイン性が高い
吹き抜けがある家は、一般的な住宅ではみられないデザイン性のあるお家になるので、おしゃれに見えるというメリットもあります。
吹き抜けと間取りの組み合わせ方に工夫を凝らすこともできるので、設計次第では、よりおしゃれな空間を作ることが可能です。
また、広くとった空間は自由に使えるので、大きいカーテンの使用や、天井からデザイン性のある照明をつけることで、インテリアを楽しむ幅も広がります。
狭小住宅でも広く感じられる
建築面積が狭い場合でも、吹き抜けを作ることで窮屈さを感じにくくできます。すべての部屋を壁で仕切った部屋に比べて、上下の空間が生まれるので、狭小住宅でも広く感じられるのです。
狭小住宅でも吹き抜けを利用して空間を工夫すれば、狭さを感じさせない家づくりができます。リビングを広くとって吹き抜けにすることで、家が広々と感じる工夫ができるのも魅力的です。
吹き抜けがある家のデメリット
吹き抜けのある家は空間的に広々としており、光を取り入れやすく、おしゃれで快適な空間を演出します。
しかし、吹き抜けにはデメリットもあるのです。吹き抜けを導入する前にデメリットも押さえておくことで、後悔しない家づくりの手助けになります。ここでは、吹き抜けのある家のデメリットについて、5つご紹介します。
音やにおいが伝わりやすい
吹き抜けのある家では、家族の気配を感じやすいというメリットがありますが、逆にいうと、生活音が聞こえやすいというデメリットもあります。
音やにおいは、大きな一室空間である吹き抜けにまんべんなく広がります。キッチンの匂いが2階まで届いてしまうこともあり、レンジフードで排出できなかったにおいまで室内に広がることもあるでしょう。
音やにおいの感じ方は人によって違うので、敏感な方は、吹き抜け構造は避けた方が良いかもしれません。吹き抜けでは音やにおいが伝わりやすいデメリットがあるものの、解消するための対策や工夫もあるため、後ほどお伝えします。
掃除しづらい
吹き抜けは、高所の掃除やメンテナンスが大変になってしまうというデメリットもあります。例えば、天井や高い位置に設置された窓は、高所用の掃除道具を準備するか、または足場を組んで掃除する必要があります。
ご自身でのメンテナンスが難しい場合は、専門の業者にお願いするといいでしょう。掃除道具の購入や業者の手配など、通常の部屋を掃除する場合に比べて費用もかかることもあります。
また、窓に加えて、シーリングライトやシーリングファンの掃除も同様に必要ですが、吹き抜けは空間を広く取れる反面、いざ生活を始めたときの掃除のしづらさがデメリットになることもあります。
冷暖房が効きにくい?
吹き抜けのある家では、高所からの採光がメリットになる一方で、冷暖房が効きにくいというデメリットがあります。住宅性能などしっかりとした施工で解決することができるため後ほどご紹介していきます。
夏は高所からの日差しや、太陽に温められた屋根の熱が伝わることで、冷房が効きにくくなります。冬は上から冷たい空気が降りてくるので、室内が冷え込みやすく暖房が効きにくくなるのです。
上記のように、吹き抜けのある家では夏は暑く、冬は寒い状態になりやすい。空間が上下に広がっている分、温度にムラができます。そのため、エアコンの電力浪費につながり、結果的に光熱費が高くなることもあります。
方角によってはカビが生えやすいことも
吹き抜けを作る方位によっては、カビが生えやすくなることもあります。たとえば、北側に吹き抜けを作ると、日当たりがよくないため、結露ができやすくなります。結露による湿気がたまると、カビが生えやすくなるので注意が必要です。
吹き抜けのメリットを活かした間取りにすれば、日当たりのよさを活かすことが可能です。吹き抜けを取り入れる場合は、どの方角に配置するかも念頭におきながら考えましょう。
耐震性が下がる恐れがある
家に吹き抜けを作ると、一般的な一軒家に比べて柱の数が少なくなる可能性があるので、耐震性が下がってしまいます。また、窓を大きくとることで壁面積も小さくなり、耐震性がさらに下がってしまうケースも考えられるでしょう。
地震大国である日本では、家づくりの設計段階で耐震性も考慮に入れます。ハウスメーカーや工務店によって耐震の基準が違うので、会社選びの際はポイントの1つとして覚えておきましょう。
吹き抜けがある家のエアコンと照明の選び方
吹き抜けのある家では採光や風通しがいい反面、冷暖房が効きにくいというデメリットがありました。そのため、快適な室温を保つためにエアコンは必須です。エアコンの性能は冷暖房効率が変わり、部屋での過ごしやすさに影響します。
また、吹き抜けのある家は天井が高いので、照明を取り付ける位置も高くなります。そのため、一般的な家で使用するシーリングライトとは、相性がよくありません。
ここでは、吹き抜けのある家にあったエアコン・照明の選び方をご紹介します。おしゃれな吹き抜けの家で快適に過ごせる工夫は、間取り以外にもあるので、事前に知っておくことで家づくりの参考になるでしょう。
エアコンの選び方
エアコンは、実際の畳数よりも少し上のエアコンを選ぶようにしましょう。吹き抜けのある家は、一般的な家に比べて、床面積に対する容積が大きいのが特徴です。
空間全体を快適な温度に保つためには、通常よりパワーのあるエアコンを選ぶ。
エアコンを選ぶ際は、実際の畳数よりも少し上のエアコンを選ぶことをおすすめします。
また、冬ならエアコンと並行して、床暖房で足元からも温められれば、より快適な空間にできます。
照明の選び方
一般的な家で使用するシーリングライトは、吹き抜けのある家では向きません。天井が高いため、ペンダントタイプのライトで天井から吊るすことで、室内を明るく保つことができます。
そのほか、照明器具つきのシーリングファンも選択肢のひとつとしてあります。(空間を快適に保つために必要なシーリングファンに、照明がついている器具です。)
光・風の観点から快適にできる照明器具つきのシーリングファンは、吹き抜けの家ならではのインテリアです。
上記の2点でも明るさが確保されない場合は、間接照明を設置することで過ごしやすくなります。スポットライトやダウンライト、ブラケットライトなど、照明を組み合わせて全体を照らすことを考えるとよいでしょう。
吹き抜けがある家で後悔しないためのポイント
吹き抜けのメリット・デメリットを知ったうえで、吹き抜けを検討される方もいらっしゃると思います。ここでは、吹き抜けのデメリットを解消するべく、後悔しないために押さえておくべき5つのポイントについて解説します。
シーリングファンを設置する
シーリングファンとは、天井に設置する大きなファンのことを指します。吹き抜けのある家は天井が高く、シーリングファンの設置によってたくさんの効果を感じられるでしょう。
シーリングファンは、室内の空気を循環させる役割を果たすため、冷暖房効率をあげることができます。
空気は、暖かくなると上に、冷たくなると下に溜まる性質があります。シーリングファンが上下の空気をかき混ぜることで、空気の層が分かれることなく、空間全体の温度が均等に保たれるでしょう。
シーリングファンは、吹き抜けのある家だからこそ取り入れられるアイテムでもあり、インテリアとしてもおしゃれに見えます。
転落防止対策を施す
吹き抜けの場合、1階と2階の空間がつながっているため、小さなお子様や高齢者の方が階段から転倒するリスクがあることを考えると、転倒防止対策を検討しても良いでしょう。
吹き抜けの家で行える転倒防止対策は、以下の3つです。
- 階段のサイド部分にガラスやアクリル板を取り付ける
- 転倒防止用のネットを取り付ける
- 柵の幅を狭くしておく
安心してお家で過ごすためにも転倒防止対策を行い、危険性を大幅に減らしましょう。
寝室や個室の配置を工夫する
吹き抜けはリビング・ダイニングの上部に位置することが多く、1階での音やにおいが2階の部屋に届いてしまうことがデメリットのひとつでした。このデメリットを解消するために、2階部分の寝室や個室の位置を工夫することもおすすめです。
例えば、寝室の扉を吹き抜け側に配置しないことで、音を届きにくくします。また、寝室の壁の一部や、吹き抜け側の壁を防音効果のあるものにするのも効果的です。
寝室以外の個室で使用頻度の低い部屋があるなら、その部屋を吹き抜け側に配置し、寝室を吹き抜け部屋から離すことでも対策ができます。
高気密・高断熱住宅にする
冷暖房効率をあげるために、住宅の断熱性をあげるという選択肢があります。シーリングファンを使って空気の層を均一に保つ方法もお伝えしましたが、エアコンを稼働させてから快適な温度になるまでには時間がかかります。
高気密高断熱な住宅は、一度快適な温度が実現できれば、その温度を維持できる特徴があります。一般的な家よりも縦方向に空間が広くなる吹き抜けのデメリットが改善でき、過ごしやすくなるでしょう。
掃除を専門業者に依頼する
吹き抜けのある家では、高所の掃除やメンテナンスが大変です。足場を組んで掃除をすることもできますが、危険も伴います。
そのため、手の届かないところの掃除は、専門業者にお願いしましょう。安全にきれいに家を保つことができます。
まとめ
吹き抜けのある家は、開放感とデザイン性を演出できるおしゃれな空間です。メリットが沢山ある反面、吹き抜けならではのデメリットもあります。
家づくりを検討されている方で「吹き抜けのある家にしたい!」と思われた場合は、後悔しないためにもデメリットも押さえた家づくりが重要です。
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