COLUMN コラム
Soraie一級建築士コラム
少ないエネルギーで温度差の少ない暮らしを。①Ua値とC値は何のため?
2024.03.28
Soraieの目指す家づくり
少ないエネルギーで温度差の少ない暮らしを
①Ua値とC値は何のため?
- 高気密・高断熱はとても大切な物。少ないエネルギーで暮らす。しかし所詮は器。
電気代が高騰している昨今、高気密高断熱に興味を持たれる方が多くなりました。弊社にも「冬寒いのが嫌だから」「夏暑いのが嫌だから」「エアコン代が高いから」とご相談頂くことも多くなっています。
気密・断熱という言葉だけでなく、Ua値・C値なんて言う言葉もご存じの方も多く、Ua値はいくらですか?C値は?などお客様からお話頂く事もしばしばです。
ですが、具体的にこのUa値の意味合いやC値の意味合いをご存じの方はとても少なくて・・・ほとんどの方にただの数字になってしまっています。
これは建築業界が、ただこんな少数点以下の数字の比較で説明を終わらせてしまうことが多いからなんだろうと思っています。
本来は車の燃費のように身近な数字で、、、「1ℓ150円するガソリンで、この車なら25kmも走れるのか!燃費良いね。うちは車の移動が多いから、少し価格が高くても燃費がいい車が良いんじゃない?」そんな感じで使われると、きっともっともっと、Ua値も生きてくるのでしょうが。。。
うちのUa値は0.58です。0.46です。0.25です。こんな小数点で言われて、「へー。凄いんですね。」以外言いようが無いと思います。例えば、築40年近い私の実家なんて計算すると1.8位のUa値になるのですが、こんな数字を聞いても「昔は今よりずいぶん悪いんですね。」くらいの感想くらいしか言いようが無いのだと思います。
実際はこのUa値やC値は何の為に存在するのか。(1種・3種の換気もそうなのですが)それはその空間で、どの位の暖房エネルギーが必要なのか。を客観的に判断するためにです。
まさしく、車の燃費と同じように。
「この性能のお家なら、この位のエネルギーで快適に過ごせるのか。」を判断するためのものなのです。
なので、、、例えば冬や夏は、基本的に全館常時、人が居てものいなくてもエアコンを付けっ放しの環境を求めるなら、なるべくエネルギーが少ない方が良い(Ua値がより低い方が)よね。となるでしょうし、ある程度のつけたり切ったりや、人が居ないフロアはエアコンを入れないなどになるなら、ある程度のエネルギー効率で良い(Ua値はそこそこで良い)となるでしょうし。。。
Soraieでは、有名な松尾設計室の松尾先生が公開されていた必要暖房能力の概略式などを参考にさせていただき、弊社での「Ua値やC値から、この位のエアコンを置いてください。とご説明をしております。」
例えばこの計算は弊社の岡山市浦安本町コンセプトハウスの必要暖房エネルギーを計算しています。
今は・・・次コラム以降でお話できればと思いますが、部屋をコントロールする時代は終わって、フロア全体や家全体をコントロールする時代になっています。
なので、LDKではなく1F全体をコントロールするエアコンを置いてくださいとご説明しております。ではその大きさは・・・というと、
弊社岡山市浦安本町コンセプトハウスのUa値は041 C値は0.2です。1F全体の延べ床面積は69.56㎡(約42帖です。)そしてここは3種換気を採用しています。
以上から、この空間に必要な暖房エネルギーは3666wとなります。
暖房エネルギー・・・3666wと言われてピンとくる方が少ないかもしれません。
次は日立のシロクマクンのHPより抜粋の資料ですが、定格暖房能力4.2KW(4200kw)・低温暖房能力3.8KW(3800kw)のエアコンがお勧めと言う事になります。ただ、普段は低温の事もあるので、もう一段大きいサイズなどをお勧めしています。
この4.2kwのエアコン・・・このカタログにもありますが、12帖用と今でもヤマダ電機やエディオンなど家電量販店で販売されています。
今の時代なら、40帖。もっと性能を上げれば60帖だってコントロールできるエアコンが12帖用として、販売されています。何故12帖用とされているのか。これは、私の実家のような昔の気密も断熱も無いお家(Ua値が悪い・C値が悪い)だと、熱損失が大きすぎて、この位のエネルギーが無ければ、温められないと言う事なのです。
カタログにも「それぞれのお部屋の条件に合った商品をお選びいただくためには、冷・暖房負荷計算を行う必要があります。販売店にご相談ください。」と記載はあるのですが、実際家電量販店は、「こんなに小さなエアコンでは、負荷が掛かり過ぎて、保証が出来ないので販売出来ません。」と断られる事もあったりします。。。。
上記のとおり、本来Ua値はC値は、、、そして1種・3種の換気も。そのお部屋に必要なエネルギーの目安になるべきものです。高気密・高断熱をお考えの方はぜひ、どのような暮らしを目指すのかを合わせてご検討いただければと思います。
では最後に、Ua値が良ければ、C値が良ければ、快適なのか。
これはまた別の問題であったりします。
Ua値が良ければ・C値が良ければ、その空間で必要なエネルギーはどんどん小さくなっていきます。ですが、当たり前の事ですが、エネルギーが届かなければどんな性能でも暖かくも涼しくもできません。
高気密・高断熱はとても大切なものです。しかし所詮は器。住まい方のライフスタイルや暮らし方を元にした「いかにエネルギーを届けるか。」がとても大切になってまいります。
コンセプトハウスでは、空間のつなげ方(引戸の開閉)・エアパスファンの運転・エアコンの運転の仕方など、さまざまな状況での温度空間を体感頂けるようにしています。
ご興味いただければ、ぜひ来場ご体感ください。
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